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事例紹介

新電元工業株式会社様

迅速な現場への駆け付けと丁寧な作業による早期復旧で顧客満足度向上に貢献。
保守サービスが更新需要の取り込みをバックアップ

新電元工業株式会社

モビリティ、エネルギー、産業機器、情報通信、家電品向けに様々な製品を提供する新電元工業株式会社。同社はエネルギー分野で公共・産業用の太陽光発電用パワーコンディショナー装置(以下、PCS装置)を提供している。全国で10万台以上に及ぶPCS装置の保守に東芝ITサービスの「パートナー保守サービス」が採用された。サービス拠点に配置されたエンジニアが24時間365日でトータルサポートを展開、迅速な現場への駆け付けと早期復旧で、ビジネスを支援している。

[イメージ]新電元工業株式会社 エネルギーシステム事業部長 執行役員 笠原 義明 氏

新電元工業株式会社
エネルギーシステム事業部長 
執行役員
笠原 義明 氏

[イメージ]新電元工業株式会社 エネルギーシステム事業部 品質保証部 保守サービス課長 土師 友宏 氏

新電元工業株式会社
エネルギーシステム事業部
品質保証部 
保守サービス課長
土師 友宏 氏

[イメージ]新電元スリーイー株式会社 O&Mサービス部 部長 田中 寿彦 氏

新電元スリーイー株式会社
O&Mサービス部 
部長
田中 寿彦 氏

課題

全国規模で対応、早期復旧を実現する保守体制を構築したい

パワー半導体やスイッチング電源などパワーエレクトロニクスを中心に最先端の技術を生かした数多くの製品を提供する新電元工業。温暖化対策など地球環境保護の機運が一段と高まる中、同社はエネルギー・環境分野に力を入れ、小型・高効率電源技術を生かして、太陽光発電用PCS装置やエネルギーマネジメントシステム(創蓄電システム)、EV(電気自動車)向けの急速・普通充電器などを手がけている。
PCS装置は太陽光発電パネルで発電された直流電力を交流電力に変換し、系統に送り込む電源装置で、太陽光発電には欠かせない。新電元工業が提供するのは公共・産業用の工場や公共機関の屋根に設置する発電出力50kW程度のミドルレンジクラスの発電所に採用されることが多い。近年では休耕地を利用して発電し、売電するケースも増えており、PCS装置の累計出荷数は10万台以上、ミドルレンジでは約20%のシェアを有する。
新電元工業の製品は四輪車や二輪車、産業機器、情報通信機器、家電製品などに組み込まれて使われており、同社は納入先の会社の製品メンテナンスの一部を担うことがほとんどだ。ところがPCS装置は太陽光発電パネルに接続され、その近隣に配置されるので、異常の可能性があると同社にエンドユーザ様から直接連絡がくる。「PCS装置向けには独自にサポート体制を組まなければならないのですが、製造開発拠点がある埼玉県とその周辺はともかく、全国規模の体制を自前で準備するのは困難でした」とエネルギーシステム事業部長 執行役員 笠原 義明氏は説明する。
新電元工業ではPCS装置以外で取引があった保守会社にサポートを委ねたが、大きな問題になったのは復旧までに時間がかかることだった。太陽光発電で売電するユーザ様が増える中で、PCS装置の異常で売電できない期間が長期に及ぶと、収入が減ってしまう。そのため、一刻も早い復旧を望む声が高まり、迅速に現場に駆けつけ、状況を把握して、24時間程度で復旧させることが可能な体制を持つパートナーを選び、保守体制を組むことが急がれた。

[イメージ]導入事例~パートナー保守サービス

選定

決め手は自社エンジニアが迅速に駆け付け、現場で丁寧に対応できること

そこで新電元工業では2016年頃から、新しい保守会社を探し始めた要件は、①対応スタッフが十分教育された社員であること②全国レベルでのサービス体制があること③早期復旧のために、迅速に現場に駆けつけることができること④物流拠点も含めたストックパーツを保管する倉庫があること⑤太陽光発電のO&M(オペレーション・アンド・メンテナンス)事業の経験があること⑥コールセンターのノウハウと運用体制を持っていること、の6つだった。「特に重視したのはサービスの質で、コンシューマーサポートに近い体制を持っている会社を選ぼうと考えました。現場での作業開始時と終了時のあいさつなど社員への教育をきちんと行い、工事業者への再委託による日程調整で、工事日程を先延ばししないような体制を組めるかどうかがポイントでした」とエネルギーシステム事業部 品質保証部 保守サービス課長 土師 友宏氏は語る。

その結果、IT機器やOA機器のメンテナンスを行う会社が多く候補に上がったが、太陽光発電では通電状態での工事や屋外で脚立を立てての作業もあり、対応が困難と思われる保守会社が多かった。そうした中で、2017年3月の展示会で東芝ITサービスを知り、何度かの情報交換やサービス紹介を経て「パートナー保守サービス」の提案を受けて、すべての要件を満たしていたことから、採用を決めた。「他の会社の場合、できる作業とできない作業がありました。複数の会社ではなく、1社でまとめて作業したいので、すべての作業ができるとした東芝ITサービスにお願いすることにしました」とPCS装置の保守サービスの運用を担当する新電元スリーイー O&Mサービス部 部長 田中 寿彦氏は語る。 2018年1月、新電元工業は東芝ITサービスと契約、保守サービスを展開するためのO&M+R(リペア)プロジェクトを一緒に立ち上げ、サポート体制の構築に向けた準備に入った。「プロジェクトには東芝ITサービスの役職者に多く加わってもらいましたので、会議の場で意思決定する場面も多く、準備は順調に進みました。また今まで業務委託先とはプロジェクトの形での徹底した議論や定期的なミーティングを行うようなやり方をしたことがありませんでした。今回、事前に東芝ITサービスと様々な議論ができたので、サポートの完成度を高めることができ、とてもよかったと思います」(田中氏)。

その結果として2018年度夏にリリースされた商品がO&M+R20年アフターパックである。
(参照URL:https://www.shindengen.co.jp/products/eco_energy/service/

評価

顧客ニーズをフィードバック、次の製品に生かすサイクルが実現

その上で、2018年4月から6月にかけて、東芝ITサービスはリーダーとなる全国のエンジニアにトレーニングを行い、2018年7月から全国のサービス拠点に配置された自社エンジニアが24時間365日体制でトータルサポートする保守サービスをスタートさせた。平日時間内は新電元工業のコールセンター、土休日・時間外は東芝ITサービスのコールセンターに寄せられた修理依頼にもとづいて、東芝ITサービスの社員が太陽光発電の設置現場に出向き、60kgほどの重さのPCS装置の交換を中心とした作業を行う。「カバーエリアとしては全国規模なので、対応しきれるかどうか正直いって若干の不安もありましたが、東芝ITサービスのフィールド支援部門からのしっかりしたフォローもあり、順調に滑り出すことができました」(土師氏)。

東芝ITサービスの保守サービスで新電元工業が評価しているのは太陽光発電所オーナー様の生の声を担当者レベルから全社で共有し、オーナー様からの評価などが新電元工業にフィードバックされていることだ。「障害やクレームの情報はもちろんですが、お客様が喜んでいる声、お褒めの言葉などの情報も報告してもらえるとは思いませんでした。当初期待した以上の情報が集まってきているので、とても感動しています。お陰さまで、そこからお客様のニーズや私たちへの期待が分かりますので、それを次の製品に反映させることができます。保守をお願いする段階では予想もしませんでしたが、オーナー様の顔が見えるようになってきたことは私たちにとって貴重な財産になります」(笠原氏)。

今後

経験を生かして、エネルギー分野の他商品の委託範囲拡大も構想
更には東芝ITサービスの機能を活用した新たな付加価値を

産業用の太陽光発電は20年間の固定価格での買い取りが法律で定められており、その間に1回はPCS装置の交換時期がやってくる。新電元工業ではO&M+Rプロジェクトのスタートに当たって、「新電元工業のPCS装置をまた買いたいといってもらえるようにしよう」というスローガンを掲げ、保守サービスの充実で更新需要を取り込むことを方針として打ち出した。今回、新電元工業では東芝ITサービスによる保守サービスの展開で、そのための土台を築くことができたと考えている。
新電元工業では、今後、監視装置なども含めたアフターサービスへの加入などPCS装置の付加価値を高める製品やサービスのユーザ様への紹介を東芝ITサービスに委託することを計画している。またお客様からの現地調査の要望に対しては、現在東芝ITサービスが新しい保守サービスとして取り組んでいるウエアラブルグラスによるリアルタイム支援の仕組みを活用。新電元工業の技術者が現地から送られてくる画像を見ながら、機器の状態や問題点を把握し、指示を出す遠隔調査も検討している。さらに、将来は、グローバル展開も視野に入れエネルギー分野の他商品の保守業務も東芝ITサービスとの連携で実施することを構想している。

[イメージ]集合写真

この事例のサービス

パートナー保守サービス

企業プロフィール

社名 新電元工業株式会社
代表者 代表取締役社長 鈴木 吉憲
資本金 178億2,314万円(18年3月末)
社員数 連結4956名(単体1292名)(18年3月末)
事業内容 半導体、電装製品、電源の製造及び販売
設立 1949年8月16日
売上高 921億7,700万円(18年3月末)
国内拠点 国内14拠点 海外18拠点

この記事の内容は、2018年10月に取材した内容を元に構成しています。
記事内の数値、データ、社名、組織名、役職などは取材時のものです。

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